2019/07/24 着物ふく
結城紬の管理人
先日、縞の結城紬に捕まりました。
この結城紬は、高級呉服を扱う呉服屋さんの番頭だった女性の遺品だそうです。
その女性は、自分が死んだ後、着物は私の行きつけの呉服屋に任せるよう、言い残していたそうで・・・。
証紙はありません。
行きつけの呉服屋から、「石下を買うようなお店の方ではないので、本結城だと思うのですが、どう思いますか?」と聞かれました。
手触りは、和紙を揉むような、本結城独特の感触です。石下ではないと思います。
とても細くて、良い糸を使っています。百亀甲の糸位かしら?もう少し細いかしら?
縞なので、高機かも知れませんが(無地や縞は高機で織られることがあります。ちなみに絣は、高機では『織れない』のではなく、『織らない』のです)、打ち込みがしっかりしています。地機かもしれません。
あまり着込んでいないようで、糊が少し残っています。
呉服屋も、細い糸を使っているので、おそらく別注で地機で織らせたものではないでしょうか、とのこと(持ち主もそれなりの方でしたし)。
これ以上結城紬を増やしても・・・と思い、しばらく放置していたのですが、やはり私のところへ来ることになりました。
着物との出会いは、いつも偶然です。着手が着物を選ぶのではなく、着物が着手を選ぶ・・・そんな感触をいつも持ちます。
「あなたのところへ行くから、大事に着てね」と言っているようです。
結城紬は100年の寿命を誇る着物。大概の人間よりも長生きします。
着手が亡くなれば、新しい着手のところへ。
人間は、結城紬の所有者なのではなく、一時の間、結城紬から選ばれた、管理人に過ぎないかも知れません。
さあ、あなたには、どんな帯を合わせましょうか?