2021/01/03 着物ふく
着物福 木の芽立ちの付下げ(単衣)
こんな風に畳んであると、ただの暈しの着物に見えます。
広げてみると
裾に木の芽立ちの模様
今見ても、手触りの良い、とても良い生地です。
裏にも染めがしっかり通っており、良い染めです。
ところどころの芽に刺繍もあり、さりげなく手が込んでいます。着てみるときらきら光って、思った以上に華やかなのです。
まだ着物を着始めて間もない頃、今となっては行きつけとなった、リサイクル店で見つけました。
その日、リサイクル店へ行くと、私の母と同世代の女性が店番をしていました。
この女性は、リサイクル店の店長のお母さんとのことでした。
店長は100年以上続く呉服屋の三代目、ということは、店番のお母さんは二代目女将。つまり、この道ン十年の大ベテランなのです。
私が「無地の着物かな?」と思ってこの着物を手に取ると、素敵な裾模様が現れました。
二代目女将がこの店の着物に華やかさがないと思って、他の店舗(店長は呉服屋の他にリサイクル店を当時3店舗、今は4店舗経営しています)からほんの1時間半前に持ってきたばかりの着物とのこと。
恐れを知らぬ着物初心者だった当時の私、この着物は店にやってきて1時間半後には私のものになりました。
お値段は今考えてもかなり安かったと思います。
二代目女将は、「こんな着物に出会うなんて、貴女には大変な着物福の持ち主だわね」
今思うと、素晴らしい営業トークです。
でも、疑うことを知らぬ着物初心者だった私は、無邪気にも「自分には着物福がある」と固く信じてしまいました。
だって、大ベテランの言うことですから。
以来、時折、素晴らしい着物がとんでもなくお値打ちに私のところに転がり込んできます(勿論、失敗もありますが)。
その度に私は自分の着物福を固く信じる気持ちになるのです。
ただし、良い着物を所有すると、粗略な扱いができず、管理費用がバカにならないという、大変な苦役が特典としてもれなくついてくるのです。
着物福の持ち主が幸せかどうかは、本人が何を幸せと感じるかによるのかも知れません。