2019/01/07 弁護士のひとりごと
レビンさん-急性腎不全と闘った猫①
ぼくのなまえはレビン。茶トラのねこのおとこの子。チャームポイントは、みじかいカギしっぽ。
うまれたのは、8がつなかばすぎのあつい日。
ママとパパとまーくんの4にんでくらしている。
ぼくがまだ神さまのところにいたころ、神さまがぼくにきいた。
「おまえは地じょうへおりたら、どんなねこになりたい?ノラねこかい?飼いねこかい?」
ぼくはすこしかんがえて、答えた。
「飼いねこになりたい」
「飼いねこか・・・飼いねこは、たしかにたべものやねぐらにはこまらない。だけど、じゆうに草のにおいをかぐこともできないし、かぜをかんじることもできない。飼いねこだからって、にんげんにかならずしも愛されるわけではない。いじめられたり、すてられたりして、天にもどってきたものもおおい」
「それに、ねこは、誇りたかいいきものだ。ノラねこだったら、みっともなく死ぬところをにんげんに見られることもない。飼いねこだと、ろうごくのような、つめたい、てつごうしのなかで、みっともない死をむかえることもある」
「神さま、それでもぼくは飼いねこになりたい。にんげんがいう、愛というものがなんなのか、しりたいんだ」
神さまもすこしかんがえていった。
「・・・おまえがそういうのなら、よかろう。すきにするがよい。ただし、飼いねこのつとめは、なまやさしいものではない。かくごはよいのだな?」
「飼いねこのつとめってなに?」
「それがなにか、考えるのが、おまえのしゅくだいだよ」
そうして、ぼくは地じょうへおりていった。
つぎにぼくが気づいたとき、ぼくは、うすぐらい、ものおきごやのすみで、おかあさんにからだをなめられていた。2ひきの妹たちもいっしょだ。
「神さま、ぼくは、飼いねこになりたい、といったじゃない。どうして、ノラねこなの?」
神さまがいう。
「あははっ!!・・・あせってはいけない。おまえのねこ生ははじまったばかりだよ。これからのおたのしみさ」
それから半月くらいたったころ、空から水がふってきた。たくさん、たくさんふってきた。
おかあさんは、ぼくたちをなるべく水がこないところにつれていったけれど、もうダメだ。このままではぬれて、からだがひえて、死んでしまう。
ぼくはノラねこのまま死ぬの?神さまのうそつき!
そのとき、おかあさんがいった。
「もうどうしようもないわ。さいごのしゅだんよ。わたしたち、飼いねこにならないと、しんでしまう。あちこちをじゆうにうごきまわる、誇りたかいわたしたちノラねこには、たえがたいことだけれど、あなたたちの命にはかえられない。にんげんのところへいきましょう。」
おかあさんは、いつもとおりみちにしていたにんげんの家に、ぼくたちをつれていった。
こうして、ぼくは、ねんがんの、飼いねこになったんだ。
ぼくたちをひろってくれた、拾いさんは、やさしいにんげんだけれど、ぼくは、ここじゃない、とかんじていた。
だって、拾いさんは、4ひきも飼えない、っていうんだ。
それでも、やさしい拾いさんは、ぼくたちのひきとりさきをさがしてくれた。
そんなとき、拾いさんの家に、茶トラのおとこの子がほしいっていう、おんなのひとがやってきた。
そのひとは、ぼくを見て、もらいます、っていった。でも、ぼくは、ちがう、そのひとじゃない、ってかんじた。
なんていうのかな、ねこのちょっかん、ってやつだよ。
すう日ご、ぼくのことをほしいといった、そのおんなのひとから、拾いさんにでんわがあった。やっぱり飼えない、って。
拾いさんはがっかりしていたけれど、ぼくは、ほらね、っておもった。
それからしばらくして、拾いさんのところに、またでんわが、かかってきた。トラがらのおとこの子をさがしているんだって。
拾いさんはよろこんで、「うちの子は、とってもかわいいから、ぜったいきにいっていただけます」っていっていた。
そうして、こんどは、べつのおんなのひとがやってきた。
それが、ママだ。
ぼくが、ママにはじめてあったとき、「ビビビッ」と、からだにでんきがはしった。
このひとだ!
このひとがぼくの飼いぬしだ!
でも、ママは、いままでねこを飼ったことがなかったらしい。
ぼくを見て、「なんてかわいいの!」とさけんで、だきあげようとした。
ぼくは、誇りたかいねこだ。にんげんにだっこされるなんて、とんでもない!ぜったいにいや!!
ママは拾いさんにしかられてしまった。
・・・もっとねこのことをべんきょうしてよね。