着物ふく

2018/12/21 着物ふく

着物の格-今の私ならどう思う?

1 木蓮の小紋

 

  写真は、母から譲られた木蓮の柄の小紋です。

 

  若干(?)昭和の雰囲気が漂っていますが、木蓮の咲く季節しか着られないという、ある意味贅沢な小紋です。

 

  木蓮は桜と同じ頃(4月上旬)咲くとされていましたが、最近の暖かい名古屋では2月から3月にかけて咲いてしまいます。

 

  なので、この着物は今なら2月から3月のほんの短い季節しか着ることがありません。

 

2 パーティの着物

 

  着物を着始めたばかりの2011年3月、とある踊りの先生が受賞されたので、そのお祝いのパーティに招待されました。

 

  場所はフレンチレストラン、立食、会費制の予定でした。時間帯はお昼です。

 

  ところが、この年の3月11日、東北大震災が起きてしまいました。

 

  そこで、この踊りの先生は、急遽パーティの格を下げ、「桜の宴」としてパーティを開催されることに。

 

  是非お着物で、とのことでしたので、初心者の私は呉服屋さんに相談。結果、この木蓮の小紋で行きましょう、となりました。

 

3 いちゃもん

 

  パーティが終わってしばらくしてから、同じパーティに出席していた男性に会いました。

 

  その男性は、私より自分の方が着物に詳しいと言い、「(踊りの先生の)受賞記念なのだから、小紋はいけない。ああいう場では訪問着が当たり前」と皆の前で言うのです。

 

  小紋は、カジュアルな感じのものから、セミフォーマルな柄まで様々です。受賞記念式典そのものでもなく、「桜の宴」なのですから・・・と言っても聞く耳持って頂けませんでした。

 

4 呉服屋の見解

 

  納得できない私は、呉服屋さんにこの出来事を伝えました。

 

  すると、呉服屋さんは、「女性に盛装(訪問着)をお求めになる以上、その男性は当然ブラックフォーマルでいらっしゃったのでしょうね!」

 

  ・・・その男性、ブラックではないジャケットはお召しでしたけれど、ノーネクタイでした(大笑)

 

5 今の私ならどう思う?

 

  あれから8年近く経ちました。私の経験値も大分上がりました。今の私だったらどう思うかしら?と考えてみました。

 

  お着物の本を読むと、「結婚式で着る着物」や、「観劇の着物」、「お食事に行くときの着物」など、着物を少しでもかじっている方なら絶対分かるよね、というシーンに着るべき着物についての記載はあります。

 

  でも、パーティの着物、となると、あまり、ジャストな答えはないような気がしています。

 

  思うに、結局、パーティの趣旨、場所、メンバー等によって着てゆくものは違うのではないでしょうか?

 

  例えば、企業や団体の○○周年記念パーティで、場所は格式あるホテル、来賓で偉い人も来る、となると、がっつり訪問着にがっつり袋帯かな?

 

  そうでもなくて、場所は格式がそれほどでもないホテルや小洒落たレストラン、となると、付下げに少し軽めの袋帯もしくは名古屋帯(この辺の判断は微妙)、小紋もありかな?ここら辺は、今でも難しい、微妙な判断です。

 

  定例の異業種交流会や、仲間内のパーティ、なんかだったら紬で行ってしまうこともあります(勿論、小紋もOKと思います)。

 

  そこで、先ほどの「桜の宴」、今の私だったら・・・あえて訪問着では行かないです。

 

  踊りの先生が震災に配慮してわざわざ格を下げるとおっしゃったのですから、あまりに華々しいのは、ちょっとね。場所もフレンチレストランですし。

 

  やはりおとなしめの付下げか、小紋でも良かったと今でも思います。

 

6 頑固爺の見解

 

  私の父は、数十年間茶道を習っており、お着物に関しては、「紬で行っても良い場所?・・・デパートまで!!」と言うガチガチの頑固爺です。

 

  その頑固爺は「桜の宴」に関しては、「先生は、お迎えする側(主催者)なのだから訪問着が良いけれど、お客様は少しくだけて。小紋でも良い」という見解でした。

 

  ちなみに、頑固爺に「お茶席に紬で来てしまった人がいたらどうするの?」と聞くと、頑固爺は「着てきてしまったものはどうしようもないでしょ。脱ぐわけにもいかないんだから。何も言わないよ」と言っています。

 

  これは、私もそう思います。

 

  冠婚葬祭のよほど大事なシーンでもない限り、自分が判断して着た着物と人の着ている着物が違ったからといって、それはその人の判断ですし。

 

  むしろ、そのことを責めて不快な思いをさせる方がおかしいですね。

 

  命に関わるわけでもなし、好きなように、気楽に着れば~というのが、私(たち親子)の結論です。

© 小野田法律事務所