2020/12/16 着物ふく
名古屋の嫁入り-伯母の羽織
絞りの羽織は昔流行ったようです。今でも古着屋さんへ行くと、よく置いてあります。
この羽織は、私が弁護士になる頃に亡くなった伯母から私へ結婚するときに譲られた羽織です。
昔、名古屋では、結婚する時、嫁入り道具を見せびらかすように持っていく習慣がありました。
最近は少なくなくなりましたが。
名古屋近郊の田舎では、近所の人が嫁入り道具を見に来て、勝手に引き出しを開けてタンスの中身を見ることも。
なので、立派なタンスだけを持っていけば良いというわけではなく、タンスの中身(着物)もぎっしり入っていないと恥ずかしいということもありました。
名古屋近郊で田舎暮らしをしていた伯母にしてみれば、タンスの中身が足りないと私が恥をかくだろうということで、「タンスの嵩増やしに」とくれたのです。
以来、ン十年もの間、私のタンスの中で眠っておりました。
伯母が着物を着ていた頃の羽織の丈は短いのが流行(何でも大正時代は長羽織、戦後は短い羽織、今はやや長めが主流だそうです)で、この羽織は私の腰位までしか長さがありません。
それでも丈は、今着てもおかしくない程度には伸ばせそうですが、致命的なのは裄です。
当時としては大柄な伯母でしたので、この羽織の裄は1尺7寸(約64.3センチ)ありますが、私の着物の裄は1尺7寸5分(約66.2センチ)~1尺7寸8分(67.3センチ)。
羽織として着るためには、裄が1尺8寸は欲しいところですが、絞りの羽織ですので、そこまで伸ばすと、絞りが伸びてしまいます。
羽織としての活用は難しい。
絵羽模様の羽織ですが、幸い、柄は反物の真ん中にあります。ですので、帯に仕立て直すのが良いかしら?と今のところ思っています。が、せっかくの羽織、なかなか決断できません。
とりあえず、洗い張りの旅に出てもらいました。
反物に戻った姿を見て、最終決断をしたいと思います。