2024/08/15 着物ふく
目利きは手利きがうらやましい
結城紬かどうかを判断する方法は、人それぞれだと思います。
私は、まず見ます。
第一印象は大事です(結城紬には、風格があります!)。醸し出す雰囲気が結城であるかどうか。
その後、細部を見ます。結城紬として矛盾がないか。
そして、最後に触ります。結城紬の触感があるかどうか。
なぜこの順番?と問われると難しいのですが、私の経験からすると、結城紬はどの位着込んであるかで、手触りが違うのが原因かも知れません。
ところが、私の行きつけの呉服屋の店主は、まず触るのです。
触って結城紬の感触があるかどうか?
触感だけで分からないと、洗い張りしてみないと分からないと言うのです。洗い張り代は私の負担です・・・そりゃないわ!
かくして、私がどこかで見つけてきた結城紬は洗い張りの旅に出るのです。勿論、私は洗い張り前提で購入しているので、呉服屋が私に損をさせているわけではありません。そして、勿論その段階で私は結城紬であることを確信しているので、別に構わないわけで。
そして、洗い張りが仕上がった状態で、呉服屋は触り、洗い職人の意見も聞いた上で、結城紬だと確信するのだそうです。
かように、結城紬かどうかを判断する過程は人それぞれ。
なぜ洗い張りしてみないと結城紬だと断定しないの?と呉服屋に聞いてみると、「今までに紛らわしいものを見てきたからかも知れません」とのこと。私の方が疑う心を持っていないので、結城紬と確信してしまうのが早いのですね。
いわば、私は目利き、呉服屋は手利き、なのです。
確かに、目利きの方が早く結城紬かどうかを判断できるかも知れません。
ですが、手利きの方は・・・ありとあらゆる着物に通暁し、触感で色々判断してしまうのです。
どうしたら、指先の感覚であそこまで正確に分かる様になるのでしょう?
これは、経験の差としか言いようがないかも知れません。彼のように呉服屋に生まれ、小さい頃から沢山の着物に触れ、毎日着物を触りまくる生活をしていないと、到底あの領域まで触感が発達しないのかも知れません。
ちょっと羨ましいですが、何しろ私の本業は弁護士ですから。毎日紛らわしい着物を触りまくることができません。
儲かるかどうかは別にして、呉服屋さんが羨ましいなぁ。