2018/06/06 着物ふく
呉服屋さんの「浮き」
呉服屋さんの世界で「浮き」というのは、商品を問屋さんから借りて自分のお店の顧客に販売し、売れた分だけを問屋さんに支払うという商法。売れなかった商品は問屋さんに返却します。
「浮き」をしない呉服屋さんは、商品を問屋さんから買い取って、自分の店の顧客に売ります。
「浮き」をしている呉服屋さん(もっと正確に言うと、「浮き」しかしない呉服屋さん)かどうか、というのは、いつ行っても同じ商品が(誰かが買わない限り)置いてあるかどうかで分かります。いつも見かける商品は買い取った商品です。
「浮き」をしない(正確に言うと「浮き」だけではなくて仕入れもする)呉服屋さんは、年に数回、いつも店頭に並んでいる商品が安くなる時期があります。在庫処分があるのです。呉服屋さんによっては半額以下になることもあります。着物好きにとってはこういう時期が狙い目ですね。
「浮き」をしている呉服屋さんも「掘り出し市」等と称して売り出しをすることがあります。しかし、これは「掘り出し市」用の商品を借りているのです。本当に適正価格より安くなっているのかどうかは、買い手も見極めが肝要です。
呉服屋さんが「浮き」をするメリットは、商品が売れないというリスクを負わなくて良いこと、在庫がないので、財務体質が(一時的であるにせよ)良くなること、でしょうか?
もちろん、デメリットもあります。
ひとつは、どんな商品をいくらで売るのか、ということをあまり自由に決められないこと。
リスクを負うのは問屋さんですから、問屋さんの意向が大きくなるということです。
もうひとつは、目利きができなくなりがちなこと。
呉服屋さんは、商品が売れなければ問屋さんに返せば良いのですから、お金を払って仕入れをするのに比べて、商品に対して真剣さ(どんな商品が売れるのかの見極め)がなくなる可能性が高くなること。商品の良し悪し、値段の適切性など、鈍くなってしまいがちなこと。
呉服屋さんも大変です。