着物ふく

2022/12/05 着物ふく

呉服の展示会

「呉服の展示会」に来ませんか?と着物を全く着ない人が言われたら、どのように思いますか?

 

場合によっては、お食事やお茶菓子が出たり、タクシーチケットなんかがもらえたりする場合もありますね。

 

中には、え?ただなの?ちょっと覗いてみようかしら?なんて人もいるでしょうね。

 

・・・いやいや

 

呉服屋さんからしたら、展示会にはそれなりの費用をかけていますし、散々見たのであれば、買って貰わないと困る、位に思っています。(あからさまに態度が悪くなるかどうかはともかくとして)。

 

 

 

着物を買って初めて呉服屋さんは客を信用するのですね。

 

これが、いわゆる呉服屋さんとのお付き合いというやつですね。

 

でも、初めての来場者からすれば、良いものを見て目を肥やしたい、どういうものが良いものなのか、まず説明を聞いて、いつか買ってみたい(買うのは別の呉服屋かも知れないけれど)、という気持ちは持ってしまいますよね。

 

それどころか、仮に訪問着なり、紬なり、買うつもりで来ていた人であったとしても、展示会にどんな着物があるのか予め分かっていないのですから、散々見ても何にも気に入る着物がないこともありますよね。逆に、出会い頭の事故(お気に入りとの運命の出会い お財布が軽くなりますね)もあり得ますが。

 

展示会に並べられた着物たちは十数万円~数十万円、場合によっては何百万円もします。洋服に比べたら高いんです。買う側からしたら、色柄も品質も気に入らないものは絶対に買いたくないですよね。

 

それなのに、何も買わないと嫌な顔をされるなんて、もう展示会なんて行けないわ!あの呉服屋とは付き合わない!!

 

つまり、お客さんは(少なくとも私は)気に入る着物があったときにだけ、その着物を買いたいのです。

 

着物人口が明らかに減少している現状では、この売る側と買う側の考え方の齟齬がなくならない限り、呉服業は衰退していく一方です。

 

衰退するからこそ、展示会で見るだけの来場者なんて相手にできない、ますます来場者が来なくなる、売れないので問屋さんも良い品を回してくれない、良い品がないので売れない、良い品を扱う問屋が取引してくれないので、問屋を変える、問屋が変わった(品質が下がった)ことを見抜く客が買わなくなる・・・悪循環ですね。

© 小野田法律事務所