弁護士のひとりごと

2019/04/16 弁護士のひとりごと

離婚してもいいですか?

 

よく言われることですが、離婚をするにはものすごくエネルギーが要ります。

 

特に女性にとって、離婚は精神的にも経済的にも大変な負担です。

 

結婚して、子供ができて、自分は家事・育児に大変な思いをしているのに、夫はいつも知らん顔。

 

私だって働いているのに・・・。家に帰ってきたら、休みの日ぐらい、手伝ってくれてもいいのに。

 

それを口に出して言おうものなら、「俺だって仕事で疲れている」、「お前が俺並に稼いでくるなら、家事・育児対等にやってもいいけどね」・・・。

 

私だったらこんな言葉には咄嗟に言い返すことができません。そんなこと言われても・・・。まだまだ男性並みに稼ぐ女性なんて少ないですもの。

 

毎年、結婚する女性の数の3分の1の数の女性が離婚をします。

 

弁護士になって、離婚事件を多く扱いますが、専業主婦(あるいはパートタイマー)だった女性が離婚して自活しようと思うと、本当に茨の道です。

 

 

 

私が高校生だった頃、やや年嵩の男性教師から「女子は4年制大学に進学しても就職先がない。短大へ行くべき」と明言されました。

 

実際、多くの同級生は短大へ進学しました。

 

私は、反逆児でしたから、4年制大学へ進学しましたけれど。

 

 

 

大学に入る(試験の成績順で物事が決まる世界)までは、男女差別って感じたことはありませんでした。

 

あからさまな差別を感じたのは、大学生になってから。

 

アルバイトも男子学生のみの募集って結構ありましたし(京都は大学生が多い街なので、買い手市場なのです)。

 

就職氷河期前(バブル時代)でしたが、就職も男子学生ほど楽ではなかったし(雇均法施行後世代なのですが・・・)。

 

就職してからも、女性総合職は、企業の都合次第で「男性と同じ扱いなのだから」と言われたり、「やはり女性なのだから女性扱いで」と言われたり(どっちやねん!)。

 

当時は、セクハラ、とか、パワハラ、という単語が世間に出回り始めた頃で、明確な判断基準もありませんでした。

 

 

 

仕事を辞めて、結婚して主婦になり、子供が生まれました。

 

そんな時に夫に不満があっても、子供を抱えて離婚して、仕事を探して自活する、なんて、とてもハードル高く感じました。

 

当時はまだまだ終身雇用制度が生きていました。結婚後も仕事をしていた私の友人も「30歳過ぎると再就職先なんて無いわよね」と言っておりました。

 

それで、私は、自立できる仕事をしようと思い立ち、司法試験を受けたのです。

 

 

 

最近、世間では、女性が活躍する社会を!とか、男女共同参画社会とか、盛んに言われます。

 

また、ここ数年は、人手不足だそうで、昔に比べると、女性も社会の中で生きていきやすくなったのかしら?と思ってしまいます。

 

(・・・本当は、人口が減少することの穴埋めに女性を活用しようとするようでは、まだまだなのでしょうね。意識が変わらなくては!)

 

 

 

今の女性はいいなあ、(昔に比べれば)多様性が認められる社会だし・・・、と世間を羨んでいて、はた、と思ったのですが、専業主婦から司法試験を受け、弁護士の仕事を始めた、という点に関しては、私も社会を変えた一人(多くの女性達の中の一人ですが)だったなあと思います。ちょっと思い上がってますね(^_^;

 

まあ、図らずも、社会の過渡期を、時代の変化を、その変化とシンクロして生きてきた、ということです。

 

政治家のように、法律や政策を立案・実行して社会を変える、といったダイナミックなことではないけれど・・・

 

ひとりひとりの女性達が、自分の人生をどう生きるか、考えること、それを社会に向かって主張すること。そして、自分の人生に責任を持つこと(言い訳は見苦しいですね)。

 

そういったことの営々とした積み重ねが社会を変えていくのだ、と思います。

 

これからも精進をしなくては!!

© 小野田法律事務所